関係値の写真化の難しさ
写真には関係値が映る、当たり前ですね。恋人が撮ったあなたは幸せそうでしょう。おかんが撮った写真は照れたあなたが写っているでしょう。道行く人に急に撮られたら怒りに染まっているでしょう。
これは、ポートレートでも言えることで、基本的には初めての被写体さんは表情が硬いです。悪いことではなく当たり前のことです。モデル業をやっているような方であれば、関係値を誤魔化して、そう演じることができるのでそこにバリューが発生しているわけですが。
僕は幸いにして、「硬い表情」の被写体さんがむしろ好きなので、問題ないのですがそれでもリラックスしている硬いと緊張して硬いでは大きな違いがあるのも事実です。例えば僕がカメラを持ってから一番撮影させていたている専属の方でも、初期の撮影と今の撮影では「硬い表情」に変化があります。前者は言わずもがな緊張した硬い表情です。
人間の表情は実はそこまで多くなく感情に連鎖しているものがほとんどです。具体的には「喜怒哀楽」に杞憂する表情で、もちろん口角や目の開きなどを細かく細分化すれば無数にありますが、ポートレート写真として考えた場合はそこまで多くないです。
この感情に杞憂するということがポイントで、悲しい表情をしてとオファーすると緊張している人は「能面」のような顔になることがあったり、リラックスしてる人は「息のある」悲しい表情になったり様々です。時には能面を撮りたい場合もあるとは思います。が後者ができる人は能面の表情もできる場合がほとんどです。
ここは正直誤魔化しが効く部分で、人によっては緊張しててもできてしまう人もいるかと思います。ただ、全員ができるわけでなく多くの場合は、カメラマンとの関係値が関わってくる状況です。慣れ・信頼度・友情・愛情など言葉はなんでもいいですが、直結するのは間違いない。
個人的な考え方ですが、撮影者は被写体の全肯定者であるべきだ。といつも思って撮影しています。被写体さんへの表情のオファーって実はハードルが高いもので「照れ」や、おかしくないかできてるのか「不安」を与える行為です。だからこそ、全肯定者でいる必要がある気がします。まぁそんなこと考えなくても素敵な人ばかりなので、自動的にそうなってるだけなんですがね。
明るい雰囲気を撮りたければ、何度も同じ被写体さんと撮影の機会を持つというのは現実的な方法だと思います。特にポジティブな撮影には関係値はめちゃくちゃ反映されてしまうなと隠キャな自分は思いますが、もしかしたら陽キャのカメラマンには無縁の話かもしれないです。
世間的にカメラマンさんや被写体さんへのイメージは下降傾向にあります。トラブル・炎上も少なくなくポートレートだけでなく一部の界隈で目立つマイナスブランディングが行われているため、今後いろんな方といろんな撮影をしやすくなるという未来は来ないと思っています。そうなると息をしていくのは、撮影会など公の場で撮影の機会を作る方々、少ないカメラマンさんに信用という印鑑を押して活動する方がさらに加速するんじゃないかなと。
多くのカメラマンさんに撮影されることに疲れたという被写体さんの話もよく聞きます。どうしても人対人なので、ストレスになりやすいことや、皆が皆初めましてが得意ではないという側面もあると思います。僕は初めましてはすごい苦手なんでわかります。最初から「大丈夫?おっぱい揉む?」と心配してくれる人が理想です。
撮影の理想系は、ストレスフリー・バリアフリーであることなんでしょうね。自分はもうほんとにどうしようもないクズですし、セクハラ魔人ですし、言動もそんなよくないのですが、それでも写ってくれる素晴らしい方がいるので、助かってますが他のカメラマンさんはどうなんでしょうかね。語弊を恐れずに言っちゃうと、この写真アリなのかな?という写真が上がっているカメラマンさんでも、すごいたくさんの被写体さんを撮られてたりして、むしろ最近は「写真」よりも「人間性」のが、この界隈大事なのでは?と思って絶望してます。はい。
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